
歯医者さんへ連れて行ったら「子どもが押さえつけられた」という体験談を耳にしたり、実際にそのような状況を体験して、「押さえつけ治療は正しいのだろうか?」と、疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。
結論からいうと、押さえつけ(抑制治療)は、命や健康を守るためにやむを得ず行われる場合もありますが、近年はそのリスクが大きく、極力避けられています。
本記事では、小児歯科における押さえつけ治療の現状・リスク・代替方法・例外的に行われる場合まで解説していきます。
小児歯科で押さえつけは今もある?現状と昔との違い

近年の小児歯科では、子どもを無理に押さえて治療する「抑制治療」はほとんど行われません。
かつてはそのような方法をとる医院もあり、その印象を持つ方もいますが、現在では避けられる傾向にあります。
なぜ昔は行われ、今は行われなくなったのか?
以前は「治療を短時間で終えること」が最優先とされており、泣き叫ぶ子どもに対しても「怖がるのは当然だから抑制は仕方ない」という考えが一般的でした。
また、当時は子どもの体力面を考慮し、長時間の治療で負担をかけないこと、そして治療中に子どもが急に動いてしまい、回転する器具や鋭い器具で口の中や顔を傷つける事故を防ぐためという安全面の理由もありました。
一方、現在は「子どもの心と身体の安全を守り、将来も安心して歯科医院に通えるようにすること」が重視され、保護者も安心できる治療方法を望むようになっています。
押さえつけ(抑制治療)の3つのデメリット

「わざわざ歯科医院に来たのだから、泣いても騒いでも早く治療を終えてほしい」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、私たちはお子さんを押さえつけて治療することは避けています。
それには大きく3つあります。
1.口の中を傷つけてしまうリスク
押さえつけられたお子さんは反射的に動き、器具が口や唇、歯ぐきに当たってケガする恐れがあります。
さらに、器具を誤って飲み込んだり喉に詰まらせたりする事故の可能性もゼロではありません。
2.恐怖やトラウマで歯科嫌いになる
無理やり押さえられた経験は強い恐怖として記憶に残り、「歯医者は怖い場所」という印象が定着します。
そうすると必要な時でも歯科を避けるようになり、将来的にお口の健康を保つことが難しくなります。
3.治療の精度が低下する
泣き叫ぶ・暴れる状態では精密な処置が難しく、虫歯の取り残しや詰め物の不適合などのリスクが高まります。
そのため、治療のやり直しや虫歯の再発につながる恐れがあります。
押さえつけない小児歯科の工夫と治療へのアプローチ
小児歯科では、お子さんを無理に押さえつけるのではなく、自分から治療を受けられるようになるための工夫を大切にしています。
成長段階や性格に合わせて少しずつ慣れるステップを踏むので安心です。
段階的に慣れる(Tell-Show-Do法)
治療の内容をわかりやすく説明し、器具を見せたり触らせたりしたうえで、実際の処置に進みます。
たとえば、
- 1回目:診察台に座って医院の雰囲気を体験
- 2回目:治療で使う器具を見せる
- 3回目:簡単な検診やクリーニングを受ける
といった流れです。
このように「わからないことへの恐怖」を減らし、「怖い場所ではない」と感じてもらえるようにします。
ご褒美や遊びの要素を取り入れる
「歯医者さんは楽しいところ」と思えるように、治療後にシールや小さなおもちゃをプレゼントするなどの工夫を取り入れることもあります。
病院環境の工夫でリラックス
待合室に絵本やおもちゃを置いたり、診察室でアニメや音楽を流したりするなど、環境を工夫する歯科医院もあります。
明るい色づかいやキャラクターの絵があると、より安心しやすくなりますよね。
しかし、これらの方法でも難しい場合や、どうしても恐怖心が強いお子さんには、別の対応策を提案することもあります。
小児歯科における子どもが治療を嫌がるときの対応策
小児歯科における子どもが治療を嫌がるときの対応策として、以下のような方法があります。
1.虫歯の進行止め
サホライドという薬を塗ると、虫歯の進行を一時的に抑えることができます。
処置は短時間で痛みもほとんどありませんが、塗布した部分の歯が黒く変色します。
あくまで一時的な処置であり、後に削って詰めるなどの本格的な治療が必要になる場合があります。
2.麻酔使用
治療中の痛みを減らすために局所麻酔を使用します。注射が苦手なお子さんには、事前に表面麻酔のジェルを塗って違和感を和らげます。
また、強い恐怖心や不安がある場合には、笑気ガスを吸入してリラックスした状態で意識を保ちながら治療を受けられます。
3.大学病院や小児歯科専門施設への紹介
通常は小児歯科で慣れるための工夫をしますが、治療が難しい場合や基礎疾患・障がいがあるお子さんには、より専門的な設備と知識を持つ大学病院や小児歯科専門施設を紹介することがあります。
やむを得ず”押さえつけ”が必要になる3つのケース
小児歯科で抑制治療が必要になるのは、命や健康を守るための緊急時や、安全に治療するためにやむを得ない場合だけです。
普段は行いませんが、以下のような状況では、タオルや専用ベルトなどの抑制具で体の動きを抑えることがあります。
1.緊急性が高いとき
転倒などで歯が折れたり抜けたりし、出血が止まらない場合や、歯が喉に刺さる危険がある場合など。
2.治療を避けると重大なリスクがあるとき
放置すると虫歯が悪化して抜歯が必要になる、感染症を起こすなど、より大きな健康被害が予想される場合。
3.年齢や特性により動きを止めないと危険なとき
年齢が低い、または障がいがあって動きを制御できない場合に、口の中の器具でケガしないよう動きを抑えることがあります。
これらは、いずれもお子さんを守るための最終手段であり、必ず事前に保護者へ説明し、同意を得たうえで行います。
心配な点があれば、遠慮なく歯科医師やスタッフに相談してください。
子どもを歯医者嫌いにしないために親ができること

子どもを歯医者嫌いにしない最大のコツは、「最初から安心できる経験を積ませること」です。
そのために、次の4つを意識しましょう。
1.小児歯科専門医や子どもに慣れている医院を選ぶ
小児歯科専門医や子どもに慣れたスタッフがいる医院を選びましょう。
見学やカウンセリングを受けつけてくれる場所なら、押さえつけの有無や代替方法など治療方針を事前に確認できます。
2.初めての受診は“チェックとクリーニング”から
虫歯治療ではなく、定期検診やクリーニングなど痛みのない診察から始めると慣れやすくなります。
初回は口の中を見てもらうだけにして、家では歯医者ごっこで診察台やミラーに似た動作を体験させておくと効果的です。
3.ポジティブなイメージづくり
「怖くないよ」よりも「歯をピカピカにしてもらおう」など前向きな言葉を使いましょう。
痛い話は避け、歯医者さんを楽しく描いた絵本や動画で、興味と安心感を育てます。
4.保護者の付き添いと声かけ
不安なときに一番安心できるのは、やはり保護者の存在です。
治療中は「よく頑張っているね」「もう少しだよ」と優しく声をかけ、手を握ったり背中をさすったりして安心感を与えましょう。
こうした温かいサポートが、子どもの歯医者への印象を大きく変えます。
小児歯科や押さえつけ治療に関連したよくある質問

小児歯科の押さえつけは今もありますか?
抑制治療は大幅に減っています。
現在は子どもの心理や発達に配慮し、慣れる練習や信頼関係づくりを優先するので、押さえつけは本当に必要な場合のみです。
子どもを押さえつけると、歯医者に対してトラウマになりませんか?
その可能性があります。
近年は「Tell-Show-Do法」などで、自分から治療を受けられるよう工夫する医院が増えています。
押さえつけをしないで済むように、家でできることはありますか?
虫歯予防と慣れが重要です。毎日の歯磨きと定期検診に加え、歯医者ごっこなどで楽しいイメージをつくりましょう。
小児歯科と一般歯科は何が違うのですか?
小児歯科は歯の生え変わりや顎の成長を踏まえ、年齢に合った声かけや器具で治療します。
一般歯科は大人が中心で、子どもへの対応が専門的でない場合があります。
押さえつけない小児歯科をお探しなら、ヨクシオ歯科交野星田へ
小児歯科での押さえつけ(抑制治療)は、緊急時など特別な場合を除き、行いません。
また、小児歯科の在り方が治療から予防へ変化したことで、近年では、お子さんが安心して治療を受けられる環境づくりや、歯医者に慣れるためのステップを重視しています。
当院も、押さえつけは原則行わず、お子さんが自ら「やってみよう」と思えるまで丁寧にサポートします。
Tell-Show-Do法や段階的な慣らし、優しい声かけ、遊びの要素を取り入れ、歯医者を「ちょっと楽しい場所」に感じてもらえるよう工夫しています。 これらの方法は時間と手間はかかりますが、「歯医者嫌い」を防ぎ、将来まで歯の健康を守る土台となります。診療室は明るく温かい雰囲気で、保護者の方も付き添いやすく、お子さんもリラックスして過ごせる環境を整えております。さらに、診察室に隣接したキッズルームを完備しており、安心して治療に専念できる環境をご用意しています。キッズルームには、世界の知育玩具を取り揃えており、遊びながら学べる体験も可能です。お子さんが歯医者を好きになれるよう、早めの受診で将来のお口の健康を一緒に守っていきましょう。
